銀行を選ぶときには、目先の金利だけではなく、そうした相談への対応、審査姿勢までチェックして、消費者の立場に立って計画を立ててくれるところを見つけるようにしたいものである。
融資実行までの金利上昇リスクをどうするのか不動産業界も金融業界も、金利の潮目の変化、それによる消費者の考え方の変化に合わせて、ひたすらな超低金利競争から、より安全性の高いローンへのシフトを強め、これまで以上にきめ細かな対応をすることで金利上昇への対応をはかろうとしている。
しかし、住宅ローンには借入後の金利上昇リスクだけではなく、契約から融資実行までの金利上昇のリスクもある。
この点にはどう対応しょうとしているのか。
「いまのように毎月金利が変わると、梱談に応じるのもたいへんです。
ですから、住宅金融公庫や金融機関には、もう少し金利見直しの期間を長くできないかと要望しています」(大手不動産会社幹部)かつての住宅金融公庫のように税金をふんだんに投入できるわけではないので、これは決して簡単なことではない。
それでも、半年、一年ごとの見直しというのは難しいにしても、三か月程度なら可能なのではないかということで、「フラット35」については検討が進められているという話もある。
もちろん、確定したものではなく、あくまでも検討中ということのようだが、三か月あれば、中古住宅や完成済みの新築住宅などは、申し込んだ金利で融資の実行を受けることができる確率が高くなる。
販売開始から引渡しまでの期間が長い大型のマンションではやはり融資実行までのリスクは避けられないが、それでも一歩の前進にはなる。
また、民間でも、「実は、融資予約時点の金利で融資実行金利を確約する仕組みがつくれないかと技術的な検討を進めているメガバンクがあります。
難しい面が多々あるため、最長で一年までとか、一定の条件がつくかもしれませんが、何とかつくれるんじゃないかといっていました。
実際、これが実現できれば、他行は簡単には追随できないでしょうから、かなりの競争優位を確保できるはずです」(金融アナリスト)という動きがでている。
住宅金融公庫の人気が高かったのは、金利が低かったことがもちろん最大の要因だが、同時に申込み時に金利が確定できるというのも大きな要因だった。
特に、現在のような先行きの金利上昇不安が強い時代には、この点は金利そのものより重い意味を持ってくる。
このメガバンクの商品開発力にぜひとも期待したいところだ。
金利上昇リスクを極小化する基本的な考え方現在マイホームの購入を計画している、将来的に手に入れたいと考えている人への究極のアドバイス、それは、「全額現金でお買いなさい」ということだ。
住宅ローンさえ使わなければそもそも金利のリスクを心配する必要もないのだから。
ただ、そうはいってもほとんどの人にとってそれは夢物語。
何とか二割から三割の頭金を貯めて、残りを住宅ローンで調達して購入するのがごく当たり前の姿になっている。
だからこそ、住宅ローンの金利動向に一喜一憂しなければならない。
金利が低下すれば、「いまが買いどき」と購入に走り、金利が上がれば上がったで、「これ以上高くなる前に何とかしなければ」ということになる。
その金利上昇がはじまったこの時期にマイホームの購入を考えている人は、今後さらに上昇する可能性が高いということを前提に、より安全性が高く、確実に返済できる資金計画を立てなければならない。
仮にその予想がはずれてさほど金利が上がらなかったら、それはそれで喜ばしいことである。
最悪のシナリオとまでいかなくても、厳しめの条件設定で購入計画を立てていけば、途中で頓挫することもなくなるし、買った後の生活も順調に進むはずだ。
そのためには、そもそもの資金計画の立て方からはじまり、ローンの選び方、返済方法の選択など、さまざまな点からより安全な資金計画を立てる必要がある。
そのポイントを整理すると次のようになる。
①資金計画の基本的な考え方何より重要なことはマイホーム購入の資金計画にゆとりを持たせること。
過剰な負担を避け、自分たちの家計に対して適正な範囲内に抑えることが大切だ。
よくいわれることだが、「いくらまで借りられるか」ではなく、「いくらなら返せるのか」という点から借入可能額を算出して、その範囲内で物件を探すということである。
欲をいえば、一割程度の余力のある資金計画を立てておく。
それが金利上昇時の衝撃を緩和してくれる。
その予算枠で希望の物件が手に入りそうにないときには、もう少し収入が増えるのを待つ、自己資金を増やす努力をするなどの見直しが必要だろう。
②ローン選びの原則は全期間固定金利型次にローン選びに関してみると、これからの金利上昇の可能性を考慮して、原則的に金利上昇によるリスクが小さい全期間固定金利型を中心に資金計画を立てるということになる。
ただし、これは三〇年返済、三五年返済など超長期の返済期間を利用せざるを得ない人のことである。
金利変動要素が大きいため、超長期で利用するとリスクが大きくなるローンであっても、返済期間を短くできる人ならさほどのリスクではなくなるので、条件に合わせた選択が欠かせない。
③返済方法によるリスクヘッジローン利用者はいくつかの点から返済方法を選択できる。
金利上昇に強い返済方法、弱い返済方法があるので、それを頭に入れて、可能な限りリスクの小さい返済方法を選ぶ必要がある。
たとえば、ボーナスは支給額の変動が大きいので、ボーナス返済は極力利用しない、返済に多少なりとも余裕があれば、元金の減り方が早い元金均等返済を利用してできるだけ早く元金を減らす、返済期間をできるだけ短くしておくなどの対応も求められる。
④万一の救済策を知っておくこうしたさまざまな対応策をとっておけば、金利が本格的に上昇してもほとんどリスクがなくなるはず。
しかし、それでも万一ということもあるので、金利上昇などによって返済が困難になったときにどうすればいいのか、その救済策がどうなっているのかを知っておくことも安心材料になる。
では、その具体的な内容を細かくみていこう。
返済負担率は二五%を上限にするまずは、資金計画の基本的な考え方のひとつとして、返済負担率について確認しておこう。
返済負担率というのは、年収に占める年間返済額の割合のことである。
先にも触れたように、金融機関では審査に当たって、その上限を設定していて、民間機関の多くでは三五%が上限になっている。
ただ、公庫と民間提携の「フラット35」は四〇%までOKだが、そんなに借りては生活に余裕がなくなる。
ある程度の余力がないと、さまざまな突発的事態に対応できないし、ローン破綻に陥る可能性が高い。
金融機関の基準ではそうなっているが、これはあくまでも金融機関の基準であり、それを守っていれば絶対に安心ということではない。
特に金利の上昇が懸念される環境では、相当に厳しく見積もっておく必要がある。
事実、前章で触れたように金融機関の審査においては、利用者に適用される金利よりかなり高めの金利でチェックしている。
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